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醪(もろみ)
酒造りというと一般の方が思い浮かぶのが、大きいタンクの脇で櫂棒(かいぼう)を押したり引いたりしている作業ですが、今回までのお話をお読みいただいた皆様でしたら、あの櫂棒を突いている作業は酒造りのほんの極一部であることがおわかりいただけたかと思います。
あの櫂棒で撹拌している作業は醪の米を均等にしたりするための作業で、作業的には難易度は高くありません。
むしろ体力的なところが重要です。(^^;)
酒造りもいよいよ終盤。ここまで来る段階でこの醪の進行具合が半ば決まってしまっていますが、それでもいろいろな行程があります。
仕込みタンクは昭和20年代くらいまでは杉桶が主流でしたが現在はホーローかステンレスのタンクで冷却装置がついたものも普及しております。
現在使われているタンクは10Kl(キロリットル)の白米で3t(トン)仕込みが多いのですが、90Kl(キロリットル)の白米30t(トン)仕込みの マンモス工場もあります。 吟醸酒はせいぜい白米1t仕込み程度です。
一度に大量の蒸し米や水を加えると醗酵などがうまくいかないので清酒の仕込みは3回にわけます。 これを三段仕込といいます。
酒母の量を1とすると、初添えでは2倍の原料、仲添えでは4倍、留添えでは 8倍と、倍々に増やして仕込みます。
入れる原料はなんだかわかりますか?
はい、まずは麹。そして麹菌が繁殖してない蒸米(むしまい)、そして水です。
麹が繁殖している米は麹米といいます。
それにたいして蒸し上げただけの米は掛米(かけまい)と言います。
初日に初添をした後は、2日目は踊りといって一日仕込みをやすませて、酵母の増殖をはかります。
醪の仲では米の澱粉が麹の力で糖化され、その糖が酵母の力で醗酵されアルコールとなります。
次の日は中添え、そして最後に留添えとなります。
留のときの掛米の量は一番多いので、次々と運ばれてくる掛米を櫂棒で力を込めて撹拌します。
これは結構な重労働です。
蒸留酒は出来上がったお酒を更に蒸留をしてアルコール度数を上げるお酒ですが、醸造酒でアルコール度数が原酒で16〜18%台にも高くなる酒は実は日本酒だけです。
ここまで高いアルコールを醸造できる秘密がこの段掛法または段仕込みです。
これは酒母を一度に大量の物科 (醪の原料である水、醪、蒸米)の中に加えると酵母菌数と酸が極端に薄められて、細菌などの 増殖に都合のよい条件をつくってしまうことをさけるために、段階をふんで増量させていきます。
これによって高いアルコール度数になります。
醪の期間は約20日間で、吟醸酒だと30~45日間にもなります。
吟醸の醪がどうしてこんなに長いか?
それは吟醸造りがそういう造りだからです。
そもそも吟醸造りとはどういう造りなんでしょう?
手短に言うと醪を長期間低温で醗酵させる造りです。
低温で長期醗酵させると何が出来るのでしょう?
それは「吟醸特有の吟醸香」です。
みなさんおなじみのフルーティなあの香りです。
醪の中では、麹君が作った糖分を酵母君が食べてアルコールを出す醗酵が進むわけですが、低温にすると寒くて酵母君が活動が鈍くなります。
酵母君が生きるか死ぬかをさまよって冷や汗がタラタラと流れて来たのが吟醸香と言われる香りです。
(あくまでたとえ話です ^^;)
その長期間の醗酵を実現するために必要なのが、吟醸造り用の麹君です。
前のメールマガジンでお知らせした総破精(そうはぜ)タイプの麹だと糖化が早く、醪の最後まで持ちません。
吟醸造りには突き破精(つきはぜ)タイプの少しずつ糖化をして持続するタイプの麹君が必要となります。
そして温度のコントロールや水分のコントロールが必要となります。
この醪造りの作業が無事に終われば、次はいよいよ上槽(じょうそう)。
酒を搾る作業となります。