麹つくりはお酒を造る行程でも重要な行程です。 蒸し米を熱いうちに広げて冷まします。(32℃くらい)これを放冷といいます。
麹菌を植えつけたお米は麹室(こうじむろ)という30℃くらいの暖かい部屋の中で繁殖させます。 吟醸酒は麹蓋(こうじぶた)という小さな木箱に小分けします。
「麹蓋と麹米」 (写真提供:竹の露)
■引き込み
蒸きょう後、34~36℃に蒸米を冷やし、麹室の中で温度を均一にするため、 床の上に積み上げ、布をかけておきます。
■床もみ(とこもみ)引き込み後2~3時間たって温度と水分が均一になったとき、蒸米を床の上にひろげ、種麹(黄麹菌の胞子)をふりかけ、よく混ぜます。 この操作を床もみといいます。
床もみの終わったときの蒸米の温度をもみ上げ温度といい、この温度は以後の麹菌の増殖速度を支配します。
床もみ後、約10~12時間位経つと、粒の表面が乾き、粒同士が互いにくっつき、かたい塊になっています。 そこで、蒸米の温度と水分を均一にし、麹菌に酸素を供給するために、堆積した蒸米を崩し、よく混ぜます。
この作業を切り返しといいます。
■盛り切り返し後約10時間、麹菌の繁殖による白い斑点が見えるようになります。 このままにしておくと、麹菌の増殖による発熱で温度が高くなり過ぎ、 増殖が止まってしまうので、堆積してある蒸米をもみほぐし、 一定量(30kg)ずつ箱に入れ、温度調節をしやすくします。 この作業も以後の麹菌の増殖速度を調節するため重要です。
■仲仕事(なかしごと)盛ってから7~9時間たつと品温が34~36℃まで上昇するため、 温度を1~1.5℃下げます。手入れ後は蒸米をひろげ、6~7cmの厚さにします。 これを仲仕事といいます。
■仕舞仕事(しまいしごと)仲仕事後6~7時間たつと、品温が37~39℃まで上昇するため、 温度を1~2℃下げます。手入れ後は蒸米をひろげ、米層をつくるなど表面積を大きくし、 品温の急昇を防ぎながら水分の蒸発を促すことを仕舞仕事といいます。
■出麹(でこうじ)酒母麹は仕舞仕事後約12時間、掛麹は約8時間後に麹室から出して冷まします。 床もみから出麹まで全製麹時間は48~50時間、掛麹で43~45時間あります。
麹米 (資料提供: 上喜元)
麹を評価する場合、突き破精型(若い麹)と総破精型(老ね麹)の二つの基準があります。 「破精」とは、麹菌の菌糸が白く見える状態をいい、「ハゼる」とか 「よくハゼこんでいる」という表現を用います。左の写真はよくハゼこんでいますね。
■総破精型(老ね麹)
麹室の中で成長した時間が長く、表面にも内部にも総体的に麹の菌糸が ハゼこんでいるもので、菌糸が多い分、酵素の生成が進んで糖化力が強いです。
■突き破精型(若い麹)ハゼこんでいるところと、ハゼていないところがまだらになっているが、 米の内部までよくハゼこんでいる麹で、糖化力は総破精型に準じるが、 淡麗な酒質になります。
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