寒い季節のお燗はこころにしみる旨さがありますね。
お燗と一口に言っても人肌、ぬる燗、熱燗...いろいろあります。 温度をお好みで変えて楽しむのもお燗を楽しむコツです。
吟醸酒がもてはやされはじめて以来、「燗」は片隅に追いやられがちです。
燗は日本酒の特性、日本人の心情に合った酒の楽しみ方。先人の上戸が生んだ 知恵を見直してみては如何でしょうか?
良い酒は冷たくして飲む?
世界的にみても、同一の酒を冷やしたり温めたりして楽しめるということは、たいへん珍しいことです。ところが「吟醸酒
= 冷たくして飲む = 良い酒は冷たくして飲む」といった単純な図式が出来上がってしまっている方もいらっしゃいます。
熟成した大吟醸や鑑評会出品酒などは、冷たすぎる温度では香りが中に閉じこもってしまい、口に入れたときに冷たく感じるばかりで本来の酒の旨味が味わえない場合さえあるのです。
もちろん飲む方自身が「旨い!」と感じる温度は人それぞれ違いますが、日本酒だけでなくビールにも同じことが言えます。必要以上に冷たいビールは、清涼感は感じられますが、ビール本来のコクや旨味・苦味は感じ辛くなってしまいます。
燗酒が嫌われた理由
話が逸れてしまいましたが、そのような意味からもお燗 = 安酒というわけではないことがおわかり頂けると思います。ではどうして、燗酒が嫌われてしまったのでしょうか?
お燗が嫌いという方に多いのは、居酒屋(主にチェーン店)などででてくる燗酒で嫌になったという方です。
失礼ながら日本酒についてよくご存じない居酒屋さん(^^;)では以下のような話をされるお店の方もいます。
「どうせ燗に使うんだから、安い酒で十分なんだよ」
本当にそうでしょうか? 彼等がお客様にお出しする燗酒は、ほとんどが旧二級酒の安価なクラスの酒をお燗器という自動の機械で、チンチンの超熱燗(とびきり燗)にするのです。(誤解のないように書かせて頂きますが、旧二級酒相当の酒が全て悪いというわけではありません。)
その結果、出てくるお酒は目に染み込むようなむせ返る臭い(香りというより臭いです)と味も香りも飛んだただ熱いだけの酒が出てくるのです。
これでは、「燗酒
= 安酒」「燗酒 = 悪酒」という図式が出来上がっても仕方が無い気がします。
それにしても、それ以前に、「どうせ燗酒なんだから」という考え方自体に問題があると思うのは私だけでしょうか? これは飲み手であるお客様をも軽視していることに繋がると思うのですが...。燗酒はそんな安っぽく、簡単なものではありません。
奥深い燗酒の世界
昔、大衆の居酒屋にもお燗番という素晴らしい職人がいました。彼等(彼女ら)は客の顔をみて、好みの酒を絶妙なタイミングで出します。(ソムリエ顔負けですね)
「お銚子○本追加...」合いの手のようにお姉さんの、いや、オバちゃんの掛け声すると、お燗番は無言でトックリを載せた無骨なお盆を差し出します。絶妙のコンビ、タイミングです。
注ぎ口をつけた一升瓶から徳利に酒を移します。大型燗鍋には次々と冷たい徳利が入り、水温が下がると少しガス栓をゆるめます。
湯温が上がって、ちょっとオバ
ちゃんの声が途切れると、鍋横の台に少し熱燗の徳利を並べます。下敷きには厚手のタオルを使って...。煮立たない前に、程なくオバちゃんからの掛け声、出番ですよ。
お燗番は酒の温め係りではなかったのです。飲み頃の上燗をグッドタイミングでサーブする酒場のお酒コーディネーター。長いキャリアの職人技です。
彼ら(彼女ら)に替わったのが先ほど登場したお燗器です。たいへん残念で寂しいことですが、一部の高級料亭ではまだお燗番が活躍しているところもあるようです。
身体に優しい燗酒
燗は冷やよりもからだにやさしいお酒です。アルコールは主に腸から吸収され、吸収されたアルコールの一部は肝臓を通り抜けて脳に達し、酔いを感じます。
アルコールに限らず、物の吸収は温度が高ければ早まります。 つまり燗をつけたお酒のほうが冷たいお酒よりも早く吸収され脳がより早く「酔った」ことをわかってくれます。
冷やだと適量を過ぎて強く酔っ払ってしまったり後から苦しくなるのはこのことが大きな原因です。 適量を早めに知らせてくれる燗はからだにやさしい飲み方とも言えます。
以下にお燗にお薦めのお酒をご紹介いたします。
従来の香りがツンと鼻をつく普通酒のお燗とは違う、本物のお燗酒です。 このページの一番下にはお燗容器「とっくりやろう」もご紹介いたしました。
手間暇かけた美味しい燗酒を、ゆっくりたのしんでみませんか? (^-^)
文責:有限会社 木川屋商店 高橋 修一
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