1月31日は白露垂珠でお馴染の竹の露へ造りの手伝いに行ってきました。
当日はあまり雪が無くて羽黒の蔵までは一気に行けました。
着いたのが夕方だったので、蔵の中をさっと見学することができました。 醸造の責任者の相沢さんがいろいろと説明して下さいました。
それにしても来る度にどんどん蔵の中が綺麗になっていっています。酒の質が上がっている蔵の共通項ですね。
この日はちょうど亀の尾の仕込みに入っていました。竹の露の米はほとんどが蔵人が造った米です。羽黒町には酒米研究会があって亀の尾や改良信交美山錦、京の華などさまざまな酒米を育成しています。
亀の尾はご存じの方も多いと思いますが、「夏子の酒」に登場した幻の米「龍錦」(実在しません。念のため。^^;)のモデルになった米です。
酒米だけではなく飯米としても使われていたため庄内を中心に広く栽培された米です。コシヒカリやササニシキの遠い祖先でもあります。
亀の尾は硬い米で水の吸いも遅いのでこれを上手に行うために蔵元ではいろいろと工夫をしています。
米と水の温度差を無くすのは水を吸いやすくするのと同時に米が割れてしまうのを防ぐことができます。
また水の温度を低くすると米はゆっくりと水を吸っていきます。この温度と時間を調整するのが米や造りごとに違うわけです。
精米が終わった亀の尾は非常に粒が揃っていて、割れも少なく非常に良い米でした。
伺ったところ今年は昨年よりも良い米ができたのだそうです。水は吸わせすぎてもいけないのですが、亀の尾で酒を造るのは通常の酒造好適米と違いいろいろとたいへんです。
コラムでも何度かお話ししましたが、良い麹を造るのが現代の酒造りでは一番の重要点なのですが、この良い麹を造るために原料となる米の前処理が非常に大切になります。
洗米は水流を使って米をいためずに洗える洗米機を使っています。
機械と呼べるほど大袈裟なものではなく、どちらかというと器と書いた方が的確かもしれませんが、これが結構すぐれもので水の勢いで米を痛めずに洗うことができます。
吸水はストップウオッチ片手の限定吸水法です。
秒単位で水に浸ける時間を計測して目的の水分を吸収させるのですが、それでも亀の尾は米の表面に水が膜をはったようになるので、なかなか吸水が難しい米です。
麹室で仲仕事や仕舞仕事といった麹の操作も行ってきましたが、非常に細かく麹の仕上がりの経過も記述してデータとして蓄えています。
地道な作業なのですが、これほど細かく丁寧にデータを蓄積するのは容易なことではありません。
また、麹の分析もさまざまな角度から行っており、多角的に麹の仕上がりをみています。
今年の仕込みはグルコ・アミラーゼの数字も上々でこの数値だけで一慨に判断はできませんが、目的の美しい吟醸香がうまく引き出せるのではないかということです。
麹を造るのに使う種麹(もやしとも言われます)は今回は特殊なものを使っています。
この日は亀の尾の麹も入っていましたが、なかなか温度が上昇せず、仲仕事を遅らせることになりました。
非常に立派な麹室がある竹の露ですが、この室をたてたのは実は結構最近のことです。
平成3年頃に量産型の酒から品質重視の酒へシフトするために平成4年に室をたて平成5年から醸造に入ったのですがここ数年になってようやく室になれてきたと社長はいいます。
2月2日は当店の四国からいらしたお客様と社長と妻と私の四人と、竹の露の金野社長、相沢さん、本木杜氏の七人で、麹室隣の宿直用の部屋で宴会になりました。途中仲仕事をみんなで行うこともあり楽しい宴会でした。
平成6年から平成26年まで清酒を20年間熟成し、 味の変化をみる古酒二十歳の会の事務局を当店は務めさせていただいていますが、そのときに出品して頂いたのが、室ができたてで社長いわく「自信のなかった酒」(^^;)でした。
ですが、この一大決心がその後の竹の露の酒を大きく変えました。
宴会の席で社長は懐かしそうに思い出されていました。
いまでこそ白露垂珠の名前が少しずつ浸透してきましたが、この最初に造った酒がきっかけで白露垂珠吊雫原酒を市販することになりました。
どこの酒販店にもでていない酒でしたが全て責任を持って当店が販売することで世に出すことができました。その後の改良につぐ改良で亀の尾、改良信交などさまざまなバリエーションと酒質の向上が実現してきました。これは蔵元の一途な品質への追及の結果だと思います。
竹の露は甑(こしき)を使っておらず、連続蒸米機という機械で蒸米を造っています。
甑無しで賞をとれるような酒はできないよ、と言われたりすることもあったそうですが、工夫と改良を重ね、今ではこの蒸米機無しでは造りができないまでになっています。
機械を導入するのはカンタンですが、それをどうやって自分達の酒造りに生かすか、工夫するか、この部分においてかなり努力をしています。
私はあちこちの蔵へ見学や研修にでかけいろいろ現場をみてきました。
蔵ごとのやり方に差があるものの、基本的に行うことは同じです。ただ、その同じ仕事をどれだけ丁寧にきちんとできるかによって必ず酒の質に仕事のやり方があらわれてきます。
その点で竹の露は今後もますます期待が持てる蔵元です。
この10年の間、蔵元が成長してきたことを間近で感じることができ本当に嬉しく思います。
社長、相沢さん、本木杜氏の三者を中心に蔵人が一丸となって良酒の醸造にチャレンジしている蔵の姿勢がみえました。
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