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上喜元 蔵見学

上喜元は酒田の昔ながらの商店街の中町(なかまち)の近くにあります。 すぐ近くには酒田の港が見渡せる日和山があります。 昔ながらの老舗がならぶ街並みです。

酒田酒造は御蔵と母屋が隣接しています。
母屋は檜造りの素晴らしいものです。


玄関に入ると幅180cmほどある扉があります。とても重い扉で普段は開けっ放しにしているようですが あんなに大きくて立派な一枚板の扉は見たことがありません。


土間に沿うように梁がはってあるのですが長さは20mもあるでしょうか。太さは40cm近くもあり、家屋に使用している木材であのようなものは
5、6軒しか現存していないそうです。


それだけでも驚いてしまいましたが、土間沿いの廊下の板が 60cm幅で25mほども続いています。


それほどの木材をみつけてくるのもたいへんだと思いますが
加工して建築物に使用しているのは当時の大地主だからこそ なのかもしれません。


母屋の奥には土蔵があり、家宝が眠っているとのことです。とは言っても実際に私を案内して下さった高橋さんも見たことはないそうですが。でも廊下に置いてあった木箱には「兜」と書いてあったので
土蔵の中はきっとさぞかし立派なものが入っていることでしょう。



御蔵の造りも古いです。 昔ながらの手造りが生きている蔵です。 杜氏の佐藤正一さん(左の写真の方です)は酒田市の隣の平田町の方で、 造りのときにならないと御蔵にはいらっしゃいません。 佐藤さんは庄内でも指折りの名杜氏です。 10月中旬の時点ではまだ造りは始まっていませんでした。 まず蒸米をするときの和釜を見せて頂きました。 この和釜は普通酒の火入れを行うときも使用するそうです。 和釜の隣にはセイロが置いてありました。


材質を聞いてみたところアルミ製とのことでした。 アルミは溶接などの加工が面倒なので、造るのには手間がかかったことと思います。




この近辺は、初孫を除くほとんどの御蔵は精米は協同精米です。 蔵が集まって協同で精米しています。
初孫は精米機を持っているんですね。となりには洗米機がありました。 随分古い洗米機で、10年20年ではきかないでしょう。





タンク室は2階建てになっていて、幅の広い階段があります。 2階に上がるとタンクの口の部分が見えます。階段の段の角がずいぶん削れています。
これは今のような設備がない昔、仕込んだ醪を桶にいれて 階段を引きずり上げた痕だそうです。


麹室(こうじむろ)も土蔵造りで壁の間には保温のための藁が入っているそうです。 中は殺菌灯で薄暗かったのですが、麹を置く棚も工夫がしてあって
大吟醸などのように麹を重ねて置かないもののために 棚が簡単に取り外しできるように造ってあります。


今は造りをやっていないので麹室の中まで入ることができました。麹室に行く途中ではおばさん達が吟醸粕を袋詰めしていました。
「食べでみれ」(庄内弁です)と言ってくれたので お言葉に甘えてちょっと指につけて食べてみました。普通の粕によりも甘かったです。


粕の中にこりこりしたちょっと固めの
ものが残っていました。これは麹です。 吟醸粕というだけあってとても香りは綺麗です。 帰りがけに二袋ほどわけて頂きました。


酒田酒造の搾りの機械は2つあります。 空気圧を利用して搾る機械と昔ながらの槽(ふね)です。 吟醸などはこの槽をつかって、丁寧に搾ります。
布袋に醪を入れて搾るわけですが、力加減が難しくあまり強く 搾ってしまうとお酒に袋香がついてしまうそうです。



袋吊りと呼ばれる搾り方もあります。 醪を布袋に入れて上から吊るし、滴り落ちたものを集める方法です。とても贅沢な搾り方で、この方法で造られたお酒は雫酒(しずくざけ)とも
呼ばれます。


搾りが終わったお酒を貯蔵しておく冷蔵室はこの搾りを行う所の 奥にあります。斗瓶や一升瓶、四合瓶などが綺麗にならべてあり、 みなさんのお手元に届けられる日をじっと待ち続けています。

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